笠置シヅ子さんと李香蘭(山口淑子)さんと言えば、ほぼ同時期に活躍していますよね。
朝ドラ「ブギウギ」では、笠置シヅ子さんをモデルに福来スズ子役を俳優の趣里さんが演じていて、後に李香蘭と接点や繋がりがあるのか気になるところではないでしょうか。
今回は二人に接点や共演・親交があったのかについて調べてみました。
結論としては、二人の接点は作曲家の服部良一氏の影響があるという事と二人の共演や親交についてはあまりなかったのではないかと思われます。(二人の共演や親交については憶測です)
興味のある方はお付き合いください。
笠置シヅ子と李香蘭の接点は服部良一氏に影響がある
笠置シヅ子さんと李香蘭さんの接点は服部良一氏に影響があるようです。
服部良一氏は二人に自身が手掛けた作曲を提供したものや映画音楽にも出演しています。
笠置シヅ子さんに提供した作曲や映画音楽作品の出演
*笠置シヅ子さんに提供した作曲
(服部良一氏の作曲)
・ラッパと娘
・センチメンタル・ダイナ
・ホット・チャイナ
・アイレ可愛や
・コペカチータ
・セコハン娘
・東京ブギウギ
・さくらブギウギ
・ヘイヘイブギー
・恋の峠路
・博多ブギウギ
・北海ブギウギ
・大阪ブギウギ
・ジャングル・ブギー
・ブギウギ時代
・あなたとならば
・ホームラン・ブギ
・ジャブジャブ・ブギウギ
・ブギウギ娘
・名古屋ブギウギ
・情熱娘
・ペ子ちゃんセレナーデ
・買物ブギー
・大島ブギー
・アロハ・ブギ
・ロスアザクザク娘
・ザクザク娘
・モダン金色夜叉
・黒田ブギー
・ほろよいブルース
・オールマン・リバップ
・ハーイ・ハイ
・ボン・ボレロ
・ホット・チャイナ
・雷ソング
・七福神ブギ
・タンゴ物語
・たのんまっせ
・おさんどんの歌
・東京のカナカ娘
・ウェーキは晴れ
・コンガラガッタ・コンガ
・恋はほんまに楽しいわ
・エッサッサ・マンボ
・ジャンケン・マンボ
・ジャ・ジャムボ
・たよりにしてまっせ
・新おてもやん
・信州ブギウギ
・善光寺音頭
笠置シヅ子さんの歌唱作品は殆んどが服部良一氏が手掛けた作曲によるものです。
他の作曲家では、服部ヘンリー氏、原六朗氏、松本四良氏らが手掛けた数少ない楽曲を笠置さんが歌い手となっています。
東京ブギウギ以外の楽曲でブギという曲名に関わるものだけで17曲もあるようですね。
服部良一氏はアメリカやオランダの作曲家が作曲したものを編曲して笠置シヅ子さんに歌唱させた楽曲もあります。
*服部良一氏の編曲
・セントルイス・ブルース
・ペニイ・セレナーデ
・美はしのアルゼンチナ
「セントルイス・ブルース」はアメリカのウィリアム クリストファー ハンディ氏の作曲、「ペニイ・セレナーデ」はオランダのメレ・ウィールスマ氏の作曲、「美はしのアルゼンチナ」はアメリカのハリー・ウォーレン氏の作曲、これらの作曲を服部良一氏の編曲により笠置シヅ子さんが歌唱していました。
また歌唱だけでなく、服部良一氏が手掛けた映画音楽の作品に出演してもいます。
*服部良一氏が手掛けた映画音楽の出演作品
・春の饗宴
・春爛漫狸祭(作曲)
・銀座カンカン娘
・果てしなき情熱
笠置シヅ子さんは1957年(昭和32年)まで歌手活動していましたが、この年に引退してからは俳優(女優)に転身して活動されています。
歌番組では審査員として歌い手を評価する側になっていますね。
李香蘭さんに提供した作曲や映画音楽作品の出演
*李香蘭さんに提供した作曲
(服部良一氏の作曲)
・支那の夜(曲)
(レコードの歌唱は渡辺はま子)
・蘇州夜曲
(支那の夜の劇中歌)
・夜来香幻想曲
・私の鶯
・いとしあの星
(レコードの歌唱は渡辺はま子)
李香蘭さんは中国と日本で活躍していた歌手、俳優(女優)でした。
どちらかと言うと映画に出演していたことが多いので日本では歌手よりも俳優としての一面が強いかもしれません。
中国では、「夜来香」「海燕」「恨不相逢未嫁時」「防空歌」「第二夢」などの歌謡曲がヒットしています。
1940年(昭和15年)に作られた流行歌でもある「支那の夜(しなのよる)」の映画で服部良一氏が音楽を担当し、李香蘭さんも出演していました。
1944年(昭和19年)頃には、日本でジャズやポピュラーなどの音楽が禁止されてしまい、服部良一氏は再び上海に渡ります。
上海では李香蘭さんが歌唱していた「夜来香」を編曲して日中共同で合作したり、「夜来香幻想曲」の作曲をし歌唱してもらうなど、積極的に李香蘭さんの歌謡曲を手掛けています。
李香蘭さんは服部良一氏が手掛けた曲を持ち歌として歌唱していますが、レコードでは歌い手が違い「支那の夜」や「いとしあの星」などの歌は渡辺はま子さんが歌唱しています。
この経緯には、レコード会社の意図があり、当時の作曲家と同じ事務所に所属している歌手でないと、レコードに録音することができないことになっていたようです。
終戦後は李香蘭さんは、直ぐに日本へ帰国できず、中国(当時の中華民国政府)から軍事裁判をかけられたり、収容所に入れられるなど中国から出国して日本へ帰国するのに1年以上も経過してようやく戻れます。
帰国後は名前を山口淑子(やまぐち よしこ)の元の日本名義に戻して日本映画で活動していきます。
帰国後の日本映画でも服部良一氏が手掛けている音楽で出演しています。
*服部良一氏の手掛けた映画音楽の出演作品
・流星
・果てしなき情熱
帰国後の服部良一氏の映画音楽に出演した作品は数少ないです。
以上のことから、笠置シヅ子さんと李香蘭さんの接点は作曲や出演している映画音楽などを服部良一氏が提供している点です。
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李香蘭(山口淑子)さんの職歴!
余談になりますが、日本帰国後、李香蘭さんは山口淑子の名義で俳優活動してから11年後に日本外交官の大鷹弘氏と再婚した事で俳優業を引退します。
その後の職歴が凄いです。
*李香蘭さんの職歴
・歌手、俳優
・司会者
・政治家
(大鷹淑子の名義で参議院議員)
・天理大学の非常勤講師
・女性のためのアジア平和国民基金
(呼びかけ人=副理事長)
俳優業を引退して11年後の1969年(昭和44年)に今度は俳優業ではなく、司会者として活動します。
5年後には政界に進出し、1974年(昭和49年)に行われた参議院議員選挙に自民党で立候補して初当選しています。
政界で18年務めて引退後は、天理大学の非常勤講師を務めています。
俳優業を引退してからの転身では凄い方ですね。
政治家に転身した経緯は分かりませんが、ご主人が外交官に入省していた方ですから、何か政治に影響するものがあったのかもしれないですね。
笠置シヅ子さんと李香蘭(山口淑子)さんに共演はあるのか?
笠置シヅ子さんと李香蘭(山口淑子)さんに共演はあるのかについてですが、見るかぎりでは1作品でしか見あたりません。(他にあるのかもしれませんが?)
その1作品は1949年(昭和24年)に公開された日本映画「果てしなき情熱」です。
この作品は服部良一氏の手掛けた映画音楽で李香蘭こと山口淑子さんは、名前の無い「美しい歌手」という役柄で特別出演しています。
因みに「ブルースを唄う女」という役柄で淡谷のり子さんも特別出演していました。
当時、笠置シヅ子さんの年齢は34歳、李香蘭(山口淑子)さんの年齢は29歳でしたので、お互いに若い頃に共演していたようですね。
他にも歌による共演はないかとNHK紅白歌合戦出場歴などで調べてみました。
笠置シヅ子さんはNHK紅白歌合戦に4回出場しています。
*笠置シヅ子さんのNHK紅白歌合戦出場歴
・第2回/1952年(昭和27年)
・第3回/1953年(昭和28年)
・第4回/1953年(昭和28年)
・第7回/1956年(昭和31年)
笠置シヅ子さんの4回のNHK紅白出場歴の中に李香蘭(山口淑子)さんの名前はありませんでした。
中国の上海などで絶大な人気があったはずの彼女が一切出場していないのは不思議に感じますが、そこには差別的な要素があったのかもしれません。
彼女は中国から帰国してから「在日中国人」という扱いを受けていたのかもしれないですね。
李香蘭(山口淑子)さんは完全に日本人なのですが、NHK局が勘違いをしていたのではないでしょうか?
憶測なので何とも言えません。これらの経緯から二人の共演歴は少ないことから、あまりないのだと思われます。
笠置シヅ子さんと李香蘭(山口淑子)さんは親交があるのか?
お二人の親交についても、あまり情報がなさそうですが、一つ気がかりな事があります。
李香蘭(山口淑子)さんは、司会者として復帰後に参議院議員として政界に進出していますよね。
その経緯から笠置シヅ子さんは後に山口淑子さんを心よく思っていなかったかもしれません。
これは、筆者の憶測です。
何故、そのように思うのかと言うと笠置シヅ子さんは、とある政治家を嫌っていた節があります。
そのとある政治家とは田中角栄元首相です。
笠置シヅ子さんは、田中角栄元首相がロッキード事件の疑惑が囁かれていた時期に新潟の空港で握手を求められたそうですが、無視したそうです。
そして、飛行機から降りる時にスタッフに言い放った一言が次の一文です。
シズ子は飛行機から降りるときに番組スタッフに「あんな政治家がいるから日本は悪くなるのや」と言い放ったという
引用:笠置シヅ子 エピソードより「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」
上記の一文から分かる通り、笠置シヅ子さんは当時の政治家に対する政治不信があったようです。
では、何故それが山口淑子さんを心よく思っていなかった事に繋がるのかと言うと、山口淑子さんを参議院議員選挙に出てほしいと要請したのが、当時 総理大臣に就任していた自民党の田中角栄首相だったからです。
笠置シヅ子さんは政治家の政治資金の汚職から政治不信を抱いていると見て、山口淑子さんを心よく思っていなかったのではないかと筆者は憶測ながら思うのです。
まとめ
・笠置シヅ子さんと李香蘭(山口淑子)さんの接点は服部良一氏の作曲提供や映画音楽作品に出演している事。
・笠置シヅ子さんと李香蘭(山口淑子)さんの共演はあるのかについては、共演作品は1作品のみ(見るかぎりでは?)で、歌番組での共演は無さそう。
・笠置シヅ子さんと李香蘭(山口淑子)さんは親交があるのかについては、あまり無さそうですが、とある政治家の政治不信から李香蘭(山口淑子)さんを心よく思っていなかったかもしれない。(あくまで筆者の憶測です)
以上、笠置シヅ子と李香蘭(山口淑子)に接点や共演・親交はあるのかについてでした。
朝ドラの「ブギウギ」で二人が共演したり、親交が描かれるのかは分かりませんが、史実に基づけば服部良一氏のモデルである草彅剛さんが演じる羽鳥善一先生が上海に渡り、李香蘭に作曲提供する部分は描かれるのではないでしょうか?