高杉真宙さんが演じた！まひろ（紫式部）の弟 藤原惟規とは どんな人？

大河ドラマ「光る君へ」で、まひろ（紫式部）の弟として俳優の高杉真宙さんが藤原惟規（ふじわら の のぶのり）を演じていますね。

有能な父と姉（紫式部）に比べて、史実の彼の才能や人柄はどうだったのでしょう。

今回は藤原惟規について触れていきます。

まひろ（紫式部）の弟 藤原惟規とは どんな人？

高杉真宙さんが演じた 藤原惟規についての生い立ちや経歴、性格、逸話などに触れていきます。

藤原惟規の生い立ちや経歴について

藤原惟規は「のぶのり」という名前の他に「これのぶ」とも読みます。

藤原惟規は平安時代中期の人物で、父は藤原為時（ふじわら の ためとき）、母は名前は不明ですが 藤原為信の娘です。

生誕した時期は974年（天延2年）の説が有力ではないかと見られていますが、正確には分かりません。

兄弟姉妹の中に「源氏物語」を書いた紫式部がいます。

大河ドラマ「光る君へ」で描かれる藤原惟規の兄弟姉妹は姉のまひろ（紫式部）だけのようですが、史実は惟規、紫式部や腹違いの兄弟姉妹を含めて6人います。

惟規と紫式部の母（藤原為信の娘）は同じです。

大河ドラマでは、まひろ（紫式部）が惟規の姉という設定ですが史実はハッキリとせず、惟規が紫式部の兄である可能性もあります。

続いて、惟規の経歴について記載しておきます。

＊藤原惟規の経歴

・1004年（長保6年）頃／一年近く、少内記（天皇の行動記録を記す役職）を務める

・1007年？／兵部丞、式部丞、六位蔵人などを歴任

・1011年（寛弘8年）／従五位下に叙任される

・？年／死去（死去日 不明）

藤原惟規は、あまり朝廷での職務経歴は少ないですが、姉の紫式部と同じく歌人であり、勅撰和歌集に10首の和歌が掲載されています。

職務として務めた少内記は漢文などの文筆の上手い人物（学者など）が就任していますから、父と同様に惟規は優秀であったと思われます。

ただ、同母兄弟の紫式部は更に優秀だったことから、惟規はどうしても劣っているように見られる傾向にあります。

1011年に従五位下に叙任されてからは、後に官職を辞任して父 為時と行動を共にします。

父 為時は越後守に任じられており共に現地に赴きますが、ほどなく惟規は亡くなっているようです。

いつ死去したのかは不明ですが、亡くなった年齢は40歳にも満たないかもしれません。（974年生誕説での推測です）

藤原惟規の官位についてですが、父の為時は生涯で官位が正五位下であるため、惟規は生涯で官位が父よりも低い従五位下であることから、父ほどの出世はできなかったようですね。（官職を早く辞任した影響もある）

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藤原惟規の性格

大河ドラマで高杉真宙さんが演じた 藤原惟規は『のんびり で ひょうひょうとした性格』とされています。

実際に史実での藤原惟規が、どんな性格であったのかは分かりません。

ただ、惟規は「好色家」と見られている記述もあります。

何故そのように見られるのかというと、『藤原惟規はすきものなりけり』と記された書物が存在するからです。

惟規のある話に、伊勢神宮に祈りを捧げる斎院という皇女に仕える女房（女官）の元に忍び込んだことがあります。

惟規は警備の者に見つかり名前を問うても隠れて名乗らないため、入口の門を閉められて出られなくなったそうです。

困った惟規は、何とか斎院に女房（女官）が口添えしたことで門を開けてもらい難を逃れたということです。

「好色」というのは性格というよりは、当時の貴族男性がもっている性分というべきかもしれません。

当時は一夫多妻は当たり前な時代でしたから、惟規だけに限ったことではないと思われます。

今回の大河ドラマで、藤原惟規の一つの一面として描かれるのかはわかりませんが？

藤原惟規の逸話

藤原惟規の逸話についていくつか触れていきます。

幼少期の逸話

藤原惟規の逸話は紫式部と共通しているので、歴史を学んでいる人なら聞いたことのある逸話だと思います。

幼少の頃に父 為時から漢文を同母兄弟の紫式部と共に学んでいましたが、惟規は漢文を記憶し、記憶した文章を声に出して唱えることができませんでした。

しかし、紫式部はいち早く理解して記憶した文章を声に出して唱えたことから、父 為時は「式部が男であれば」と残念に思ったという話です。

惟規は歌人として「勅撰和歌集」に作品が収められていますから、優秀であることは間違いありません。

紫式部が更に優秀だったために才能が劣っているように見られるのは可哀想なことですね。

宮中強盗事件の逸話

この逸話は「紫式部日記」に記されたものです。

藤原惟規の出世に関わる出来事なのですが、運悪く活かすことができませんでした。

宮中強盗事件の内容は、大晦日の夜の宮中に強盗が入り、紫式部が仕えている中宮 彰子の部屋から悲鳴が上がったのです。

大晦日であることから宮中の警備の者はいない状態なので、造営に携わる内匠と弁の内侍（天皇側近の女官）を引き連れて悲鳴のあった部屋へ紫式部らは向かいます。

部屋内には2人の女房（女官）が裸の状態でうずくまっており、どうやら強盗らに身ぐるみをはがされたようです。

そこで、紫式部は殿上の間にいる兵部丞を呼ぶように指示をします。

この兵部丞こそ同母兄弟の藤原惟規だったのです。

しかし、肝心な惟規も大晦日のためか早めに帰宅していました。

強盗を捕まえることができれば功績から出世できる機会があったのですが、運悪く惟規は不在だったのです。

この時代は一族の出世こそが繁栄に繋がりますから、紫式部は危機的状況でありながらも惟規に対して歯がゆい思いをしたのではないでしょうか。

官職を辞して父と行動を共にする

先ほどにも記載しましたが、惟規は1011年（寛弘8年）に従五位下に叙任されてからほどなく官職を辞任しています。

父 為時が越後守に任じられていることから、父と共に越後の任地に赴いています。

出世しているのにも関わらず官職を辞任して、父と共に行動した理由は分かりません。

ただ、父 為時が1011年頃は高齢だったからなのかもしれません。

為時の生誕も息子 惟規の生誕と同様でハッキリとしませんが、949年（天暦3年）に生誕した説が根強いです。

父 為時が949年の生誕だとすると、1011年頃は62歳という高齢になります。

もしかすると、惟規は親への孝養を尽くす思いが強いことから、出世を諦めて高齢の父と行動を共にする道を選んだのではないでしょうか。

平安時代中期に中国の儒教の教えが根付いていたのかは分かりませんが、儒教の教えでは、「親への孝養を尽くす」ことは非常に重要であるとされています。

藤原惟規が儒教の教えを学んでいたのかは分かりませんが、高齢な父に付いて行ったことを考えると、とても心優しい人物だったのかもしれません。

まとめ

高杉真宙さんが演じた！まひろ（紫式部）の弟 藤原惟規とは どんな人なのかについてでした。

彼は経歴は少ないですが、歌人としては優秀な人物です。

同母兄弟の紫式部が優秀過ぎて才能が隠れてしまうのは哀れです。

平安時代の貴族は、出世こそが一族の繁栄に繋がる絶対条件でした。

しかし、藤原惟規は1011年までに出世した官職を辞任して父と行動を共にします。

憶測の域でしかないですが、惟規は高齢な父 為時に孝養を尽くす「とても心優しい人物」だったのではないかと個人的に思うのです。

惟規は「好色家」という一面もありますが、平安時代の貴族は一夫多妻であることは当たり前ですから、惟規に限ったことではないと思います。

高杉真宙さんが演じる惟規は、『のんびり で ひょうひょうとした性格』との事ですから、道長のように権力や出世といった欲とは皆無で描かれるかもしれないですね。