7月30日放送の世界の何だコレ!?ミステリーで、13歳で家出し、山奥の洞窟暮らしの経緯から43年間を生き延びた方が取り上げられています。
おそらく、紹介されている方は、加村一馬(かむら かずま)さんであると思われます。
家出した経緯についての著書も出されているので、ご存知な方が多いのではないでしょうか?
加村さんについては、ご存知だと思いますが、今回は家出の背景や経緯を簡潔にまとめてみました。
1. 加村一馬さんの家出経緯
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加村一馬さんは、13歳で家出し、43年間にわたって山奥の洞窟で生活した実在の人物です。
彼の壮絶なサバイバル生活は、多くの人々に衝撃を与え、彼の人生は書籍やドラマとしても取り上げられました。
1-1. 加村一馬さんの家出の背景
加村さんは、1946年に群馬県大間々町(現:みどり市大間々町)で生まれました。
彼は8人兄弟の4男であり、家庭内での虐待に耐えかねて13歳の時に家を飛び出したのです。
彼は都会に向かうのではなく、自然の中での生活を選びました。
家出した後には、可愛がっていた愛犬のシロが加村さんを追ってきており、共に家出することになります。
1-2. 加村一馬さんが暮らした洞窟での生活
加村さんは、最初に足尾銅山の洞窟に住み始め、その後も栃木や新潟などの山々を転々としながら生活しました。
彼は、狩猟や採集を通じて食料を確保し、イノシシやウサギ、山菜、魚などを食べて生き延びています。
特に、彼は自然の中でのサバイバル技術を身につけ、様々な食材を利用していました。
タンパク質として食べられるものは、何でも食べたそうです。
アリ、ヘビ、カエル、さらにはカブトムシの幼虫など、通常は食べられないようなものも食べていました。
また、彼は愛犬のシロと共に生活し、シロが彼のサバイバル生活において重要なパートナーであったことも特筆すべき点です。
時には加村さんが、力尽きそうになった時には、シロが加村さんの耳を噛んで正気に戻らせています。
しかし、そんな愛犬のシロも洞窟生活から3年後には亡くなってしまったようです。
後にシロを土に埋め、弔ってからの加村さんは栃木や新潟などの山々を転々とします。
家出から、この後の経緯はまとめて記載しておきます。
2. 加村一馬さんが家出してからの43年間経緯まとめ!
- 家出のきっかけと旅立ち
・1946年8月31日、群馬県で8人兄弟の4男として生まれる
・1959年(昭和34年)、13歳で家出を決意
両親からの虐待:家出の直接のきっかけは「あんころ餅をつまみ食いして説教され、餅つきの杵で叩かれた」とのこと
家を出る前に、サバイバルに必要な物を準備
- 干し芋、塩、醤油
- マッチ、ナタ、ナイフ、砥石
- スコップと学生カバン
加村少年は線路に沿って徒歩で5日ほどかけて、栃木県の足尾銅山に到着し、そこで思いがけず、彼の愛犬シロが追いかけてきたことで、孤独感から救われる
2. 洞窟での生活環境の整備
加村さんは足尾銅山の山中腹にある人けのない洞窟(廃坑)を見つけ、そこを住処と決めた
住居の確保
- 洞窟の入口には木の枝とツルで簡易的な扉を作り、獣の侵入を防いだ
- 洞窟内には丸太と檜の枝、枯れ葉を使って寝床を作った
- トイレは洞窟の外に穴を掘り、葉っぱをトイレットペーパー代わりにした
- 常に火を絶やさないようにして暖を取り、獣を遠ざけた
食料の調達方法
家から持ってきた干し芋などが尽きた後は、様々な方法で食料を確保
採集
- 山菜・木の実:小さな梨のような実や柿などの果物。柿は渋みがとれるまで洞窟内に保管
- キノコ:子どもの頃に見た経験から、食べられるものと毒があるものを見分けた
- 昆虫:カタツムリ(醤油をかけて焼くとサザエのような味)、
アリ(頭を取り除き、お尻の蜜は甘い)、
カマドウマ(イナゴのような香ばしさ)
狩猟
- ワナ作り:落とし穴(深さ1.5メートル、底に尖った竹を仕掛けてイノシシを捕獲)
- 弓矢:竹と藤のツルで自作(サルの撃退や動物捕獲に使用)
- 捕獲した動物:ヘビ、カエル、ネズミ、コウモリ、マムシ(特に美味しいと評価)、ウサギ、イノシシなど
- 犬の協力:愛犬シロが動けなくなった時はウサギを捕まえてきてくれた
保存方法
- イノシシの肉は干し肉にして保存
- 貴重な獲物は長持ちさせるための工夫をした
調理
- 家から持ってきた醤油や塩を使っていたが、1年ほどでなくなった
- 野生の植物から塩味を抽出して味付けの代用とした
(サルの知恵から得たらしい)
水の確保
滞在していた足尾銅山周辺の川は鉱毒に汚染されており、飲料水として使うことはできなかった
水の代用
- 雨水や湧き水を利用していた可能性が高い
- 植物から水分を摂取していた
- 食材(果物や野生植物)から水分を補給していた
生存のための技術と知恵
道具作り
- ワナ:幼少期から自分で作っていた経験を活かし、様々なタイプの罠を考案
- 武器:竹と藤で弓矢を作り、動物の捕獲や危険からの身を守るために使用
- 衣服:学生服が擦り切れた後は、捕まえたイノシシの皮で衣服や靴を自作
怪我への対処
- 熱病時:ミミズを煮た汁を飲んで熱を冷ました
- 怪我の治療:ヨモギの葉を傷に当てて治療
(竹が足を貫通した時など)
危険な状況への対処
- クマとの遭遇:16歳の時、クマと死闘
(ナタでクマの腕を切って難を逃れた) - 猟師からの危険:洞窟に射撃してきた猟師から身を隠した
愛犬シロの役割
- 加村さんが高熱で倒れた際、川の水で濡らした布を頭に乗せてくれた
- 意識不明になりかけた時、耳を噛んで目を覚まさせた
- 食料がない時、ウサギを捕まえてきてくれた
3. 社会との再接触と生活の変遷
20歳の頃
- 新潟で老夫婦と出会い、初めて社会と接触
- 老夫婦の家で数年ぶりにお風呂と布団を体験
- 初めてお金(100円札)をもらい、バナナを購入
- 近所の噂を懸念して再び山に戻る決意をする
自給自足から現金収入へ
- 採取した山菜を道端で売り始める
- 20年間、場所を転々としながら山菜売りで生計を立てる
- 40歳頃には体力の衰えを感じ、川のほとりでの生活に移行
- 釣りを始め、釣り人との交流から社会との接点を増やす
加村さんは、洞窟での暮らしでクマとの死闘や猟師らの狙撃という苦難を味わっています。
その危険から山々を転々とし、新潟で20歳の頃には心優しい老夫婦に出会っています。
老夫婦には、子どもがおられたそうですが、戦争で亡くされているようです。
老夫婦は、加村さんを我が子として生きていかないかと言われたそうですが、近所の噂を懸念して再び山に戻ることを決意します。
後に、採取した山菜を道端で売り始めたことで、現金収入を得てから人間らしい生活に馴染んでいくようになります。
得た現金収入で、バナナを購入しますが、食べたことがない当初は皮ごと食べてしまったそうです。
また、人から貰った海苔に覆われたおにぎりも食べたことがないことから、不思議に感じられたようですね。
加村さんは、中年期になる頃には体力の衰えから、徐々に社会との繋がりが増えていきます。
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余談になりなすが、加村一馬さんの社会復帰についても触れておきます。
加村さんは56歳の頃(2003年)に窃盗で逮捕されます。
この頃、加村さんはホームレスであり、魚を釣って腹を満たそうとしていたのですが、何日間も釣れず状態でした。
空腹を満たそうと、自動販売機の小銭を取ろうとして警察に捕まります。
しかし、この窃盗で逮捕されたことが社会復帰に繋がっていくのです。
警察の取り調べで身元が判明し、43年ぶりに加村さんは家族と再会します。
この時に両親は既に亡くなっており、加村さんの戸籍は省かれていたそうです。
後に執行猶予付きの有罪判決を受け、社会復帰への道を歩み始めます。
加村さんの現在は、群馬県内の障がい者支援施設で用務員として勤務されているそうです。
因みに、加村さんの長兄、次兄、三兄かは存じませんが、一人のお兄さんも、一馬さんと同様に虐待を受けていたようです。
一馬さんが、家出した3か月後にお兄さんも家を出られたようですね。
一馬さんに向けられていた虐待が、他の兄弟に向けられたのかもしれません。
とても複雑な家庭環境であったことが予想されます。
加村一馬さんの社会復帰した経緯についてもまとめておきます。
兄との再会
- ある女性との騒動の中、偶然工事現場で兄と再会
- 兄も家を出ており、弟を案じていたことが判明
逮捕と社会復帰
- 56歳の時(2003年9月)、自動販売機を壊そうとして逮捕される
- 警察の取り調べで身元が判明し、43年ぶりに家族と再会
- 執行猶予付きの有罪判決を受け、社会復帰への道を歩み始める
現在の生活
- 群馬県内の障がい者支援施設で用務員として勤務
- 施設内の4畳半のワンルームで生活
- ブルーベリー畑の管理など、様々な仕事を担当
- カセットコンロで調理をし、インスタント味噌汁などの現代的な食事も楽しむ
- 時にはイライラすると山に行ったり、近くに穴を掘ってそこで過ごしたりすることも
社会的影響
- 著書「洞窟オジさん」がベストセラーとなる
- NHKで「洞窟おじさん」としてドラマ化
(2015年放送、文化庁芸術祭優秀賞受賞) - テレビ番組「激レアさんを連れてきた」にも出演
- サバイバル技術や自然との共生の知恵を伝える活動も行う
*参考元 | URL |
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ホットペッパー | https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/yasushi-nishimuta/19-00227 |
@yukkuri-mountain・チャンネル | https://youtu.be/K2ov81NIbKU?si=g5I9yjsdwJY1emw1 |
NEWSポストセブン | https://www.news-postseven.com/archives/20150912_350325.html?DETAIL |
最後に、加村一馬さんについて
加村一馬さんの43年間にわたる生活は、現代の便利な生活からかけ離れた究極のサバイバルでした。
彼の経験は、人間の持つ驚くべき適応力と生きる意志の強さを示しています。
現在79歳近い加村さんは、かつての苦難を乗り越え、独自の人生を歩んでおられるようです。
彼は、極限状態でも工夫と忍耐で生き延びる人間の可能性を示す貴重な実例ともいえるのではないでしょうか。