「ちゃんと教えているはずなのに、なぜか人が育たない」
現場で働いていると、こんな違和感を感じたことはないでしょうか。
自分なりに教えているつもりでも、人によって理解度に差が出たり、途中で混乱してしまったり、最悪の場合、そのまま辞めてしまうこともあります。
実際に私がいた職場でも、教え方が人によって違い、情報共有もされていない環境の中で、うまく育たずに離れていった方がいました。
当時は「教え方が悪かったのか」と考えていましたが、振り返ると問題はそこではありませんでした。
本当の原因は、個別対応が必要なのにそれが設計されていないこと、そしてその情報が共有されていなかったことでした。
この記事では、実際の経験をもとに、なぜ教育がうまくいかなくなるのか、その原因と気づきをまとめています。
実はこの問題の前に、すでに「働き方そのもの」に違和感を感じていました。
そのときの体験はこちらでまとめています。
1. 教育がうまくいかない理由は個別対応と共有不足だった

現場で教育がうまくいかないとき、「教え方が悪いのではないか」と考えがちです。
しかし実際には、それだけが原因ではありませんでした。
人によって理解の仕方や得意・不得意は違います。
そのため、教え方がある程度変わってしまうこと自体は、避けられない部分でもあります。
誰に対しても同じやり方で教えようとしたり、逆に教える人ごとにやり方がバラバラだったりすると、受ける側は混乱しやすくなります。
本来であれば、「この人にはこの教え方が合っている」という情報を共有しながら、全体としてバランスを取る必要があったのだと思います。
統一することよりも、それぞれに合わせた対応をどう共有するか。
教育がうまくいかなかった原因は、この点にあったと感じています。
2. 私がいた職場の状況はこんな感じでした

私が働いていたのは、ビール工場の分析業務の現場でした。
主に数値の測定や記録、異常があった場合の報告などを担当しており、製造ラインに関わるポジションではありましたが、私はその部署の専任ではなく、あくまで代わり要員という立場でした。
そのため、現場には複数の担当者がおり、教えてくれる人も固定ではなく、その都度変わるような環境でした。
一見すると問題はなさそうに見えるのですが、この「教える人が複数いる」という状況が、後々、教育のズレにつながっていきます。
3. 教え方が人によって違いすぎて混乱する

実際に現場で感じたのが、教え方が人によって大きく違うという点でした。
やり方自体も微妙に異なっており、どれが正しいのか判断がつかないまま作業を進める場面も少なくありませんでした。
教える側にとっては、それぞれのやり方に理由があるのかもしれませんが、受ける側からすると、その違いが積み重なることで混乱につながります。
こうした状態が続くと、作業そのものよりも『正解を探すこと』に意識が向いてしまいます。
結果として、覚えることに集中できず、理解のスピードも落ちてしまうと感じました。
4. 人に合わせた教え方がされていなかった

教え方の違いだけでなく、もう一つ大きな問題だと感じたのが、人に合わせた教え方が十分にされていなかったことでした。
実際に、ある代わり要員の方に業務を教えていたときのことです。
その方は、分からないことがあるとその都度マニュアルを確認しながら進めるスタイルでした。
丁寧で間違いを防ぐ意味では良い方法だと思いますが、そのたびに作業が止まってしまい、全体の進行が遅くなりやすい状態でもありました。
そこで私は、まずは大まかな流れを体で覚えてもらい、細かい部分は後からマニュアルで補う形のほうが合っているのではないかと考え、やり方を少し変えて教えようとしていました。
ただ、このような対応はその場の判断に委ねられており、「この人にはこのやり方が合っている」といった基準や共有は特にありませんでした。
結果として、教える人ごとに対応が変わり、本人にとってもどのやり方を基準にすればよいのか分かりづらい状態になっていたと思います。
今振り返ると、その方のやり方が悪かったわけではなく、その人に合った進め方を前提にした教育の設計がなかったことが問題だったのだと感じています。
5. 分かっているのに共有されていなかった

個別対応の問題と同時に、もう一つ強く感じたのが、分かっているはずの情報が共有されていなかったことでした。
以前お話しした通り、ある方の作業の進め方について、マニュアルを確認しながら進めるため作業が止まりやすいという傾向がありました。
その状況を班長代理に伝えたとき、返ってきたのは、、、
この反応から、ある程度その傾向は把握されていた可能性があると感じました。
もしそうであれば、事前にその情報が共有されていれば、最初からその人に合った教え方を選ぶことができたかもしれません。
しかし実際には、そのような共有はなく、教える側はそれぞれの判断で対応するしかない状態でした。
その結果、教え方は人によって変わり、受ける側はどのやり方を基準にすればいいのか分からなくなる。
本来であれば防げたはずの混乱が、そのまま現場で繰り返されていたのだと思います。
問題は、誰かが気づいていなかったことではなく、気づいていた可能性があるにもかかわらず、それが共有されていなかったことでした。
分かっているのに共有されないと、意味がない。
この点が、教育がうまくいかなかった大きな原因の一つだったと感じています。
6. 環境が原因で人が辞めてしまうこともある

こうした状況が続くと、少しずつ影響が出てきます。
教え方が人によって違い、やり方の基準も分からない。
さらに、その人に合った進め方も共有されていない。
その状態のまま作業を続けていると、どうしても混乱が積み重なっていきます。
最初は「慣れれば大丈夫」と思っていても、思うように進められない状態が続くと、次第に自信を失ってしまうこともあります。
実際に、私が関わった中でも、途中で作業が合わなくなり、結果的に離れてしまった方がいました。
もちろん、理由は一つではないと思いますが、少なくとも、教え方や環境の影響がなかったとは言えないと感じています。
誰か一人が悪いという話ではなく、環境が合わなかった結果として、そうなってしまった。
振り返ると、そう捉えるのが自然なのではないかと思います。
7. 教育は個別対応と共有があってこそ成り立つ

ここまでの経験を振り返って感じたのは、教育は個別対応と共有があって初めて成り立つということでした。
人によって理解の仕方や得意・不得意は違います。
そのため、全員に同じ教え方をするだけでは、どうしても限界があります。
だからこそ、その人に合った進め方を考える「個別対応」が必要になります。
ただ、それだけでは十分ではありません。
現場で重要になるのは、「この人にはこういう教え方が合っている」という情報を、関わる人同士で共有できているかどうかです。
もしその情報が共有されていなければ、教える人が変わるたびにやり方がリセットされ、同じような混乱が繰り返されてしまいます。
本来であれば、OJTの中でその人の特徴や進め方を記録し、チーム内で共有していく仕組みが必要だったのだと思います。
教育がうまくいくかどうかは、個人の教え方だけで決まるものではなく、その情報がどう扱われているかという『仕組み』に左右される。
今回の経験から、そう感じるようになりました。
また、職場の環境によっては、人間関係にも影響が出てくることがあります。
その点については、こちらの記事で詳しくまとめています。
8. 後悔しないために確認しておきたい教育体制のポイント

ここまでの経験から感じたのは、教育の良し悪しは入ってからでないと分からない部分も多いということです。
ただ、事前にある程度は見極めることもできます。
例えば、次のようなポイントです。
・教育の流れがある程度決まっているか
・どの段階で独り立ちとするのか基準があるか
・教え方や進め方が現場で共有されているか
こうした点が曖昧な職場ほど、教え方にばらつきが出やすく、結果として混乱につながりやすいと感じました。
逆に、多少不器用な教え方であっても、流れや基準、共有がしっかりしている職場であれば、安心して仕事を覚えていくことができます。
もしこれから仕事を探すのであれば、「仕事内容」だけでなく、こうした教育体制についても意識して見ておくことをおすすめします。
求人サイトの中には、職場環境や教育体制についての情報が比較的分かりやすく掲載されているものもあるので、そういった情報を参考にしながら選ぶのも一つの方法です。
実際に求人を見るときは、教育体制やサポートの記載があるかどうかを意識してみると、環境の違いが見えてきます。
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まとめ:教育は仕組みで決まる
今回の経験を通して感じたのは、教育の結果は人ではなく仕組みによって大きく左右されるということでした。
教える人の能力や相性も確かに影響しますが、それ以上に重要なのは、個別対応と情報共有がきちんと機能しているかどうかです。
その仕組みが整っていなければ、どれだけ現場で努力しても、同じような問題は繰り返されてしまいます。
逆に、環境が整っていれば、多少の違いがあっても安定して人は育っていきます。
教育の問題は「人」の問題に見えがちですが、実際には「環境」の問題であることも少なくありません。
だからこそ、働く場所を選ぶときには、仕事内容だけでなく、その環境にも目を向けることが大切だと感じました。


