なぜ工場から若い人がいなくなるのか?現場で見た人材が定着しない理由

若者たち
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30年ほど前、私は飲料製造工場現場で働いていました。

そして時を経て、再び同じような現場に関わることになりました。

そこで感じたのは、「人の構成」が大きく変わっていたことです。

特に印象的だったのが、若い世代の少なさでした。

まったくいないわけではありませんが、現場全体で見ると、その存在はかなり限られていたように思います。

なぜ若い人がいなくなったのか。
なぜ入ってきても続かないのか。

これは単に「仕事がきついから」といった単純な話ではなく、これまで見てきたような雇用現場の構造とも深く関係していると感じています。

この記事では、実際に現場で見てきた変化をもとに、若い人が定着しない理由整理していきます。

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目次

1. 結論:若い人がいないのではなく「残れない構造」だった

オフィス 教育
画像元/写真AC

現場を見て最初に感じたのは、「若い人がいない」という印象でした。

そして実際に関わっていく中で、その印象は間違いではなかったと感じています。

当時、私が見た限りでは、20代〜30代若い世代男女合わせても数人程度しかおらず、現場全体で見ても、その割合はかなり少ないものでした。

その中には派遣の方も含まれています。

つまり、若い人がまったく来ていないわけではないものの、人数としても少なく、さらに定着もしにくい状態だったのです。

実際、新しく入ってきた人が長く続かず一定期間で離れていく

そして補充されても同じように定着しない

そうした流れが繰り返されているように感じました。

では、なぜ続かないのか

ここまで見てきた給料の変化や、雇用の形現場の余裕のなさを考えると、個人の問題だけでは説明がつかない部分が多くあります

むしろ、そうした環境の中では、続けたくても続けにくい状態になっている考えた方が自然でした。

👉 問題は人ではなく、構造にありました。

若い人がいないのではなく、、、

少なく、そして残れない状態が当たり前になっていた

それが、現場で感じた一つの結論です。

実際、私が在籍していた期間にも新しく人が入ってきました。

ただ、その内訳を見ると、若い世代はごく一部で、比較的年齢の高い準社員の方が中心だったのです。

若い派遣の方も一人いましたが、その方は長くは続かず途中で現場を離れています。

あくまで外から見ていた立場での推測にはなりますが、業務量の多さや、担当する作業の幅の広さ覚える内容の多さなどを考えると、負担に対して見合っていると感じにくい環境だった可能性もあるのではないかと感じたのです。

もちろん、個人の事情もあるため一概には言えませんが、少なくとも「続けやすい環境だったかという点については、疑問が残る部分もありました。

2. 理由①:給料と将来性が見えにくい環境だった

資産形成
画像元/写真AC

若い人が定着しにくい理由として、まず無視できないのが給料将来性の問題です。

これは単に「給料が安いという話だけではありません

現場で感じたのは、将来の見通しが立てにくい環境だったという点です。

過去を振り返ると、昇給は徐々に鈍化し、やがて止まり最終的には減給へと繋がっていきました。

こうした流れがある中では、長く働いた先のイメージを持ちにくくなります

さらに、準社員という雇用形態では、賞与があったとしても大きな額にはなりにくく生活の基盤として考えたときに、将来への安心感を持ちにくい側面もありました。

こうした状況は、特に若い世代にとっては大きな判断材料になります。

これから長く働くことを前提に考えたとき、将来が見えにくい環境を選び続ける理由は持ちにくいのが自然です。

一方で、現場に入ってくる人の年齢層を見ていると、別の側面も感じました。

あくまで私の見ていた範囲での推測にはなりますが、入社してくる方の中には、子育てを終えた世代の方や、定年後に一定期間働くことを目的としているように見える方多かった印象があります。

また、これまでの忙しい仕事から少し離れ比較的負担の少ない働き方を求めて選んでいる可能性もあるのではないかと感じる場面もありました。

もちろん、すべての方がそうだとは言えませんが、こうした傾向があるとすれば若い世代長期的働く前提で選ぶ職場とは、少し方向性が異なっていたのかもしれません。

若い人にとっては将来が見えにくく、一方で一定期間働くことを前提とした人には合いやすい

そうした構造が、結果として若い世代の定着のしにくさに繋がっていた可能性もあると感じています。

なお、こうした給料の変化については、実際に現場で起きていた流れを別の記事でまとめています。

3. 理由②:雇用の変化で、責任と待遇のバランスが崩れていた

人手不足2
画像元/写真AC

給料や将来性に加えて、もう一つ感じたのが雇用の構造そのものの変化です。

以前と比べて、現場における正社員の割合は少なくなり、準社員パートといった雇用形態が中心になっている印象を受けました。

もちろん、こうした柔軟な働き方自体が悪いわけではありません。

ただ、現場の中で見ていると、責任の重さ待遇のバランス違和感感じる場面がありました。

実際に、準社員の方班長として現場まとめているケースもあり、役割としては重要判断指示担っているにもかかわらず、その立場待遇十分に見合っているのかどうか疑問に感じる部分もありました。

また、私自身が関わった中でも、一部の部署では責任の所在はっきりしないまま判断が進み、その影響現場側が受けるような場面もありました。

誰が最終的に責任を持つのか曖昧な状態は、働く側にとって大きな不安要素になります。

こうした環境では、「この先もここで働き続けていいのか」という判断をしづらくなるのも無理はありません。

特に若い世代にとっては、責任の所在評価の基準明確であることは重要な要素です。

👉 役割待遇責任の関係見えにくい環境では、長く続ける理由が持ちにくい

そうした構造も、定着しにくさの一因になっていたのではないかと感じています。

なお、こうした雇用の変化については、現場で実際に起きていた流れを別の記事で整理しています。

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4. 理由③:人を育てる余裕がない現場だった

デスク仕事に疲れる男性
画像元/写真AC

もう一つ大きく感じたのが、現場に「人を育てる余裕」がほとんどなかったことです。

ただ、この点については、すべての部署が同じ状況だったわけではありません

実際には、比較的覚えやすい業務の部署もあれば、業務量が多く覚える内容も多い部署もあり、環境には差がありました。

私が本来配属されていたメインの部署は、比較的流れが分かりやすく体力的な負担はあるものの、覚えること自体はそこまで難しいものではありませんでした。

一方で、休み要員として入った別の部署では、状況が大きく異なります。

その部署では、一日の作業工程が整理された形で共有されておらず作業の流れ体系的把握しづらい状態でした。

一方で、個々の設備の使い方については、それぞれマニュアルが用意されていました。

ただ、それらはあくまで「個別の操作手順」に留まっており、一日の作業全体をどう進めるのかという視点での整理されていなかったのです。

もし工程ごとの流れをまとめたマニュアルが整備されていれば、理解もしやすかったと思いますが、実際にはその場で説明を受けながら覚えていく形になり、どうしても教える側・教わる側ともに負担が大きくなっていました。

結果として、教えることに時間を取られ現場全体として余裕がなくなるという状態になっていたように感じます。

もちろん、人の教え方工夫によって改善できる部分もあるとは思います。

ただ、仕組みとして支える部分不足していると、どうしても個人の負担に依存しやすくなります。

👉 育てる余裕がないのではなく、育てるための仕組みや時間が足りていなかった

そうした状況では、新しく入ってきた人不安を抱えたまま現場に立つことになり、結果として定着しにくくなるのも無理はありません。

そして気づけば、、、

人を育てる場所ではなく、『回すことが優先される現場になっていた。

それが、私が一部の現場で感じた実態でした。

なお、こうした「個別の作業はあるが、全体の流れが共有されていない」という状態については、教育の仕組みとしての問題も大きかったと感じています。

5. 理由④:違和感があっても改善されにくい環境だった

改善タスク
画像元/写真AC

ここまで見てきたような環境の中で、もう一つ感じたのが、違和感を覚えても、それが改善されにくい状態でした。

現場では日々の業務を回すことが優先されるため、細かなルール運用についても、その場その場で判断されることが多く、基準がはっきりしないまま進んでいく場面がありました。

その結果、担当する人状況によって対応が変わり、「どれが正しいのか分かりにくい」と感じることも少なくありませんでした。

また、現場からの意見や気づきがあったとしても、それがすぐに仕組みとして反映されるわけではなく結果的同じ状態が続いてしまうこともありました。

私自身も、作業の進め方判断について疑問を感じる場面がありましたが、それが明確に整理されることは少なく最終的には現場側対応せざるを得ない状況になることもありました。

もちろん、すべてが一方的に悪いというわけではなく人手時間に余裕がない中では、すぐに改善するのが難しい側面もあったと思います。

ただ、こうした状態が続くと、、、

違和感を感じても変わらないのではないかという感覚が積み重なっていきます

特に若い世代にとっては、自分の感じた違和感疑問まったく反映されない環境は、長く働き続ける上での不安材料になりやすいものです。

👉 環境が変わる見込みが持てないと、人は離れていく。

そうした流れも、定着しにくさの一因になっていたのではないかと感じています。

こうした「判断のズレ」や「改善が進まない状態」については、現場で感じた違和感として別の記事でも整理しています。

6. 結果:若い人は「入っても続かない状態」になっていた

ビール工場内 設備
画像元/写真AC

ここまで見てきたように、給料将来性雇用のあり方教育の余裕、そして改善されにくい環境など、さまざまな要素が重なっていました。

その結果として現れていたのが、若い人が定着しないという状態です。

実際の現場でも、新しく入ってきた人が長く続かず一定期間で離れていくケースは少なくなかったように感じます。

そして、人が辞めるとまた新しい人が入る

しかし、その人も同じように続かない

こうした循環が繰り返されている状態になっていました。

このような状況では、当然ながら人が育ちにくくなります。

経験が積み上がる前人が入れ替わってしまうため、現場としての安定ノウハウの蓄積も難しくなっていきます。

その結果、さらに余裕がなくなり、また同じことが繰り返される

定着しないこと自体が、新たな定着しにくさを生む構造になっていました。

もちろん、すべての人が短期間で辞めているわけではありません。

ただ、全体として見たときに、、

長く続ける前提の環境にはなりにくかった

という印象は強く残っています。

だからこそ、若い人は現場に残らなかった

それは個人の問題ではなく、これまで見てきたような環境構造の積み重ねによるものだったと感じています。

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まとめ:若者不足は『原因』ではなく『結果』だった

世代
画像元/写真AC

ここまで見てきたように、現場で起きていたのは単純な「人手不足」ではありませんでした。

給料の問題雇用の変化教育の余裕のなさ、そして改善されにくい環境

これらがそれぞれ独立しているのではなく、すべて繋がりながら影響し合っている状態でした。

その結果として現れていたのが、若い人が定着しないという現象です。

つまり、若い人がいないこと自体が問題なのではなくそうならざるを得ない構造になっていた
というのが実感に近いところです。

現場で感じていた違和感も、個々に見れば小さなものかもしれません。

しかし、それが積み重なることで、働き続けることへの不安迷いに変わっていきます。

そして最終的には、続けるという選択をしにくい環境になっていく。

それが、今回見てきた一連の流れでした。

若い人がいないのではなく、残れないだけ。

この視点で見ていくと、問題の捉え方少し変わってくるのではないかと思います。

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