今年(2023年)の初場所で優勝した事で、綱取りの可能性が出てきた貴景勝(たかけいしょう)ですが、過去にも綱取りのチャンスがありながら逃してしまった経緯があります。
現在、日本人力士で横綱はいない状況なので、貴景勝に横綱に昇進してほしいと願う方々も多くおられると思います。
しかし、貴景勝に横綱は厳しいという意見もあります。
私も個人的に思うことですが、かつての稀勢の里(現・二所ノ関親方)の二の舞になるかもしれないと見ています。
横綱に昇進してほしい反面、不安要素もあります。
今回は、貴景勝の綱取りは、厳しいといわれる事と、稀勢の里の二の舞になるかもしれない事についての根拠を紹介します。
貴景勝の綱取りは、厳しいと言われる根拠?
貴景勝の綱取りは、厳しいと言われる根拠についてですが、以前から他の親方衆からも言われています。
貴景勝の相撲のスタイルは、突きと押しという、ごく普通のスタイルですが、これが彼の得意とする技でもあります。
ただ、このスタイルだけでは読まれやすく、四つ相撲の技術力がないと厳しいと言えます。
四つ相撲というのは、対戦力士の二人がお互いに差し合い、体を密着させるように組み合う形の事を言います。
双方同士で右手を下手に差して左手を上手にしている状態を右四つと言い、その逆で左を差し、右を上手にしている状態を左四つと言います。
貴景勝の相撲は、突きと押しでの勝率が高いですが、四つ相撲で挑むと勝率は低いでしょう。
おそらく、彼自身も四つ相撲は弱点でもあり苦手と見ているはずです。
四つ相撲が何故、貴景勝の弱点になるのかというと原因は、彼の体形にあります。
酷な事を言うと彼の腕が短いのです。
四つ相撲になると体を密着させますから、腕が短いと不利となり、まわしを取られてしまう可能性が高くなります。
まわしを取られると体勢を崩されてしまう確率も上がります。
だから、貴景勝は極力、四つ相撲は避けているのでしょう。
貴景勝は、突きと押しでの短期戦の勝率は高そうですが、体を密着させた長期戦での勝率は低そうです。
これが、貴景勝の綱取りは、厳しいと言われる根拠です。
今後、現状のままで突きと押しのスタイルを貫くのか、弱点である四つ相撲を克服するのかはわかりませんが、突きと押しのスタイルだけを貫くとなるとかなり厳しいと言えるのではないでしょうか?
昨年7月からの勝敗は悪くないけど微妙?
*貴景勝は突きと押しのスタイルで昨年7月からの勝敗では、二桁勝利を収めているところには驚かされます。
•2022年 7月:11勝4敗
•2022年 9月:10勝5敗
•2022年 11月:12勝3敗
•2023年 1月:12勝3敗
確かに勝率だけを見れば安定的な勝率です。
横綱になれる実績と見られるかもしれません。
ただ、この実績を評価できるのか?というと微妙かもしれません。
何故、微妙なのかというと現在、体調が万全でない横綱の照ノ富士が不在である事やコロナ過で出場できていない力士などもいますから、この結果が評価に値するのかが疑問です。
つまり、次の春場所で(仮に照ノ富士や他の力士が不在の状態で)二桁勝利を収めて、横綱に昇進しても、それはレベルの低い戦いに勝ったという見方になるかもしれません。
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20年前の状況が現在なら貴景勝は横綱になる機会はなかった?
これは、あくまで憶測での話です。
貴景勝の突きと押しの相撲スタイルを見ていると十数年、二十年前に活躍した力士を思い出します。
それは、千代大海(ちよたいかい)です。
千代大海も貴景勝と同様で突きと押しの強い力士でした。
彼も早い段階で大関に昇進して活躍していましたが、頂点である横綱にはなれませんでした。
20年以上前には、若貴兄弟がいて相撲人気が上がっていた時期ですが、その当時に千代の富士が引退して横綱不在でも、後に曙や貴乃花、武蔵丸が横綱に昇進して活躍していました。
千代大海も番付を上げて大関として活躍していましたが、突きと押しの強い相撲だけではかなわず、そのうち、勢いのあった朝青龍に追い抜かれてしまいます。
何が言いたいのかというと、この20年前の現状が現在であったなら、千代大海と同じく貴景勝は横綱になる機会はなかったのではないかと考えてしまうのです。
コロナ過がなく、強い力士、四つ相撲の取れる横綱(白鵬など)が存在していたら、貴景勝が横綱になる機会はなかったかもしれません。あくまで憶測です。
稀勢の里の二の舞になるかも?
これも憶測です。
現状況で貴景勝が横綱に昇進しても二桁勝利を維持していけるのかは微妙です。
ただ、横綱になる頃には、どの力士にも言えることかもしれませんが、古傷やケガが癒えていない状況で戦っている場合が多いです。
照ノ富士にしてもケガをした事から番付を下まで落として、現在の最高位に上っていますが、体調が万全でないことから、完全には癒えていないのだと思います。
元横綱 稀勢の里にしても大関から横綱に昇進したまでは良かったですが、昇進して引退までの約2年のうち二桁勝利があったのは、2度しかなく、後は途中休場、休場が多くあります。
体調もおそらく限界だったのでしょう。
稀勢の里が横綱に昇進した時の年齢は30歳あたりでしたから、体調だけでなく、体力面も落ちていたのかもしれません。
何となくですが、貴景勝もケガで休場したり、万全でない時もありましたから、稀勢の里のようになってしまうような気がするのです。
横綱は負けることが許されない重責です。
二桁勝利が望めないようなら引退が直ぐにチラつくことでしょう。
貴景勝が横綱になることで相撲人生が早く終わる可能性もあるかもしれません。
考えようによっては、大関のまま在位していたほうが、相撲人生が長く続けられそうな気がします。
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まとめ
以上、貴景勝の綱取りは、厳しい?稀勢の里の二の舞になるかも?についてでした。
何となく、貴景勝を20年前の千代大海に重ねて見てしまうことがあります。
不謹慎ですが、20年前にコロナ過があり、横綱不在であったなら、千代大海も横綱になれる機会があったのではないかと考えてしまいます。
貴景勝が横綱になれたとしても四つ相撲を得意とする力士が多数存在したら厳しい状況になることが予想されます。
意外と大関に長く在位して稀勢の里のような身の引き方が理想的かもしれません。
できれば、日本人の横綱力士として長く在位してほしい願望もあります。
何となくですが、体調が万全になった豊昇龍や霧馬山あたりが追い抜いてきそうな気がします。